商標審査基準改訂のポイント② 精神拒絶について

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前回に引き続き商標審査基準〔改訂第13版〕のポイントについてご説明します。

 

ポイント② 精神拒絶について

従来、同一人が同一の商標について同一の商品又は役務を指定して2件出願したときは、一定の場合を除き、先願に係る商標が登録された後、後願について「商標法制定の趣旨に反する。」という理由により、拒絶をするものとされていました。

商標権者が登録商標と同一の商標について同一の商品又は役務を指定して出願したときも同様です。

この拒絶理由は、商標法上に明文の規定はないものの、商標審査基準において公表され、運用されてきました(この拒絶理由を「精神拒絶」ということがあります)。

 

この「精神拒絶」の運用について、改訂第13版で以下の変更がなされています。

 

【改訂後の運用】

同一人が同一の商標について、その指定する商品又は役務がすべて同一の商標登録出願をしたと認められるときは、原則として、後願について「商標法第3条の趣旨に反する。」との拒絶の理由を通知するものとする。

商標権者が登録商標と同一の商標について同一の商品又は役務を指定して商標登録出願したときも、同様とする。

 

【改訂のポイント】

従来、指定商品・役務が1つでも重複している場合は、拒絶理由が通知されていたのに対し、改訂後は「すべて」の指定商品・役務が同一の場合にのみ、拒絶理由が通知されることになりました。

また、その根拠を「商標法制定の趣旨」に求めるのではなく、「商標法第3条」という明文の規定に求めることになりました。

 

【重複した出願ができるようになると…?】

現在、先願(登録)商標に新たな商品・役務を追加できる制度はありません。

そのため、出願時には使用を予定していなかった商品・役務について、出願後に使用をする必要が生じたときは、同一商標について新たに商標登録出願をする必要がありました。

しかしそうすると、同一商標について複数の商標権が存在することになり、一元的に管理することができません。

今般の改訂により重複した出願ができるようになることで、一元的な管理を行いたいという出願人(登録人)の期待に一定程度応えられるようになりました。

 

詳しくは4月3日付改訂の「商標審査便覧」をご参照ください。

「同一の指定商品又は役務」であるかの判断方法についても解説されています。

商標審査便覧 41.01

商標法第3条の趣旨に反する場合の審査運用について

http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/41_01.pdf

 

なお、実際に、指定商品・役務を追加した後願を行った後、先願(先登録)を放棄しようとする場合は注意が必要です。

商標は長く使用することで信用が蓄積され、価値が高くなっていくものですので、その価値を放棄してしまってよいのかについては慎重に判断しなければなりません。

もし、ご心配の場合は、ぜひ、弊所までご相談ください。

 

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